市民の手で作るお祭り 〜熊本暮らし人まつり みずあかり〜

今年もこの熊本市で「みずあかり」が開催されました。
熊本城を背景に、あかりの灯った竹のオブジェが街を彩ります。また、城の横を流れる坪井川の水面に約5,000個の浮き灯籠が揺れる様子が、儚く幻想的です。

熊本城と「みずあかり」風景

「みずあかり」とは竹、火、水、ろうそくといった熊本の資源を生かした灯りを使ったお祭り。秋の夜、2日間に渡り開催されます。
今年は約42,000個のろうそくのあかりが灯りました。もう熊本の秋の風物詩と言っても過言ではありません。熊本の人にとって“無くてはならないお祭り”として存在しています。

熊本の魅力を再発見し「ここに暮らす喜びと、切なさまでも共感できる市民と地域でありたい」というコンセプトのもと、2004年にスタートしました。

「みずあかり」の準備中

熊本に住みながら、誇れるような場所にしたい

熊本暮らし人まつり」という名前にもあるように、この「みずあかり」はただ美しい風景を楽しんでもらうためだけではなく、熊本で暮らす人たちの手で作り出す“過程”を大切にしているお祭りでもあります。

「みずあかり」坂口さん長の坂口さん

竹のオブジェを作って、火を灯して、その灯りをたくさんの人が観に来てくれる、という見た目はシンプルな灯りのお祭りなんです。だけど、このお祭りの良さは、それだけじゃありません。
8月から作業を開始し、ボランティアの方が毎週約100人協力してくれるため、開催まで延べ約5000人も参加してくれるんです。皆、“やらされてる”ではなく“自分たちでやっていこう”という思いが強いんです。それほど市民の手でつくる事を大事にしたお祭りです。

そう話してくれたのは、2006年から一般ボランティアで参加し、2016年より運営委員会の実行委員長になった坂口裕俊さん。 運営委員会は80人ほどで構成されており、社会人と学生が半々くらい。それぞれの経験や感性を活かし提案をし合い、このイベントへの思いや考えを融合しながら作っているそうです。そこにたくさんのボランティアが加わり、竹灯籠の制作、設置、当日の運営、その後の片付けまで、地元企業、市役所や県庁の職員、自衛隊、学生など多くの人たちの参加によって成り立っています。

学生の運営委員

単なる市民としてこの地に籍をおくのではなく、この地に暮らす責任とこの地の豊かさに貢献する市民。この現場では、彼らのことを「暮らし人(くらしびと)」と呼ぶのだそうです。

80代のおばあちゃんが一生懸命竹に穴を開けてくれたり、毎年参加してくれる小学生の子がいたり。そういう場面を見ると、みんなのお祭りになってるんだな、と実感できます。そういった“市民が交われる場所”を作ることができている。愛着が生まれるお祭りになっている、と私は思っています。熊本いいな、ここに住んでよかったなと思ってくれる人が増えることが、活動を続けている中で何よりも嬉しく感じます。

「自分は故郷の創造者の一人なんだ」

年齢や立場に関わらず、一人一人の高い意識がこのお祭りを確かな存在に仕上げているよう。このお話を伺った後に見た、運営委員の方たちとボランティアの方たちの作業風景はこの街に対する愛情いっぱいの温かいあかりが灯ったようでした。

「みずあかり」準備中

2019年は、『サクラマチクマモト』のオープンや、熊本城天守閣の特別公開、ラグビーワールドカップと開催日が重なり、例年にも増して賑わいをみせました。

日の沈む18時には会場に見物客が溢れた。メインストリートのオブジェと橙のあかりがついていく様子を、瞳をキラキラさせながら見つめていました。また、坪井川に設置する大きなオブジェは熊本地震以降、設置を取りやめていましたが、今年から設置が再開。

坪井川の光景
今年から設置を再開した坪井川の大きなオブジェ

「みずあかり」は、スタートから本年度まで、1度も欠かさず開催が続いており、16回目を迎えた今年もたくさんの賑わいと共に無事終了しました。

この地域に住むことを誇る「暮らし人」が手掛ける、「みずあかり」。このお祭りは、今後の熊本市も照らし続けてくれます。来年のこのお祭りへ訪れた際は「暮らし人」の作業風景から楽しんでみてください。
「どこに住む」という考え方が変わるかもしれません。

みずあかり

みずあかり

会場:熊本市中央区花畑町一帯

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熊本はどうデスク ライター紹介

大塚さん

大塚 淑子

おおつか・よしこ/1985年生まれ。福岡県八女市出身。大学在学中より好きな写真を気まぐれに撮り集め、好きな文章とも関われる雑誌編集者を目指す。フリーペーパーの編集を経て、熊本の出版社『ウルトラハウス』に入社後副編集長を務める。
2019年よりフリーの編集者・フォトグラファー・ライターとして活動。
熊本住居歴/13年