都市と自然の距離感 〜立田山トレイルランニング〜

古くから「水の都」「森の都」と呼ばれてきた熊本市。そんな熊本市の自然を「これでもか!」と楽しんでる人たちがいます。それが『立田山トレイルランニング同好会』の皆さん。トレイルランニングとは、簡単に言えば登山道や林道、砂利道などの未舗装路を走るスポーツです。

トレイルラン中の足元

皆さんが走る山は、熊本市中心部から東北に位置する標高152mの立田山。市街から至近の距離(約5km、車で約15分!)にある事もあり、多くの市民が自然を楽しんでいる場所。その立田山で、月に1・2回、日曜日の早朝に集まり、4〜10kmほどを走っているそうです。

とある日曜日、実際に同好会の皆さんに密着しました。朝7時、同好会の皆さんが立田山に集まり、ウォーミングアップを行いスタート。森に足を踏み入れると、キラキラと木漏れ日が差し込み、鳥の鳴き声や枯葉を踏む音が響きます。市街から近い距離にも関わらず、車の音がせず静か。耳を澄まし、自然の音を聴き、思い切り空気を吸い込むだけでも、とても気持ちがいいです。必要な荷物を身に付け、颯爽と森の中を駆けていく皆さん。木の枝や石、濡れた葉などが散乱し、アップダウンの激しい道だから、ランニングが容易な道とは言えません。しかし、皆さんの顔を見ると、どこか楽しそうに“探検”しているように見えました。

トレイルランを楽しむ大人たち

都市にいながら自然とつながる手段

同好会を作ったのは、中心街で『オモケンパーク』を運営している面木健(おもきたけし)さん。

フリスビーを楽しむ大人

トライアスロンの練習がてら、立田山を歩いて散策路を調べるなどのルートハンティングを始めました。実際にトレイルランメンバーを募ってみると、走りたい人が思いの外多くいろんな人が参加してくれました。

同好会にはFacebookページがあり、今回参加しているメンバーの一人は、ページを見て参加してくれたそう。オープンな雰囲気から女性のメンバーも参加しやすく、様々な人が参加するコミュニティになりました。

アクティビティを朝に行うことで、午後からは別の過ごし方ができます。その気軽さが、この立田山にはあると思っています。近くにコンビニや自動販売機は無いけど、安心して飲める水道水がある。駐車場が充実していて、景色も綺麗。すごく自然体で、だけど都市からとても近い。自然だけ、都会だけ、というよりは、全部が程よく共存している。こういった都市と自然のバランスがものすごくいいんだと思います。

山中を駆け抜ける男性

会の創立メンバーでもあり、一番走り込んでいる千葉恭兵さん。千葉さんは青森県出身で、23歳の時に熊本市に移住。走り出したのは熊本に来てからということでした。

面木さんとはアパレルショップで出会い、お互いがアウトドア好きとわかり意気投合しました。その後、立田山で走るから来てみない?と誘われました。登山が好きだったので、すぐに参加しました。いざ走ってみると、山道の下り坂をスピードつけて走るのが気持ちよくて、ハマるのに時間は要しませんでした。今では仕事帰りにライトをつけてナイトランもしていますよ。中心街から近い場所にこのような緑に溢れた森があるのはいいですね。

森の中の橋を走って渡る男性たち

1時間ほど走り込み、恒例の記念撮影も終えた後は、皆思い思いのスタイルで中心街へ向かいます。面木さんが営む『オモケンパーク』で朝ごはんを食べるためです。車で向かう人、トレーニングのため走る人、自転車で颯爽と走り出す人と、無理なく各々のライフスタイルに合った過ごし方が、とても自然体で素敵な印象でした。

トレイルラン後のジャンプ
自転車で駆ける男性

この熊本市に残された豊かさをしっかりと感じ、今あるものを壊さない。この先50年・100年と生きている人たちがその豊かさを享受できて、それによる価値に気づく感性。そういう事に富んだ人が住む街になればいいなと思っています。気軽に集まって日曜の朝が楽しいものになれば万々歳です(笑)。

そう話す面木さんから、改めて熊本市ならではの面白さ、楽しさがある事が分かりました。

この活動に密着してみて気づいたのは、こんな素晴らしい都市にいるなら、「楽しまなきゃ損」ということ。いつもの日常から少し顔をあげて見渡すことでも、違った世界が見えてくるかもしれません。

カフェで朝食を摂る人たち

立田山(たつだやま)

住所:〒861-8072 熊本県熊本市北区室園町

立田山トレイルランニング同好会

Share on facebook
share
Share on twitter
tweet

ライター紹介

もこもこした帽子をかぶった女性

大塚 淑子

おおつか・よしこ/1985年生まれ。福岡県八女市出身。大学在学中より好きな写真を気まぐれに撮り集め、好きな文章とも関われる雑誌編集者を目指す。フリーペーパーの編集を経て、熊本の出版社『ウルトラハウス』に入社後副編集長を務める。
2019年よりフリーの編集者・フォトグラファー・ライターとして活動。
熊本住居歴/13年