心の豊かさが
変わった

自然もおしゃれな店もある、ゆとりある暮らし。

くまもと森都心プラザ図書館で、司書として働いている野中さん。2020年、熊本出身の夫との結婚を機に、東京から熊本市へ移住しました。地方でのゆとりある生活の中で“心の豊かさ”を取り戻し、仕事もプライベートも充実した日々を送っています。移住までのプロセスと、熊本生活の楽しみ方を聞きました。

都会から地方への移住に、最初は不安も

ー 野中さんは結婚を機に熊本市に移住されましたが、ご出身はどちらですか。

出身は長野県です。高校を卒業して東京で就職し、その後17年間住んでいました。熊本出身の夫とは東京で出会って結婚しましたが、結婚する時は熊本市に行くことが決まっていたんです。先にUターンしていた夫を追いかける形で、2020年に熊本市に来ました。

ー 長年過ごした都会を離れ、それまで縁のなかった熊本市に行くことが決まった時は、どのように思われましたか?

その時は、環境がどのように変化するのかよく分かっていなくて。移住することについて深く悩むこともなく、すんなり受け入れることができました。

ただ、熊本のことを全く知らなくて…。九州では、福岡は都会なイメージでしたが、熊本は辺鄙(へんぴ)なところという印象がありました。正直、東京の都会暮らしに慣れていたので、熊本での田舎暮らしで不便になることには不安がありました。

行政の相談窓口を活用して情報集め

ー熊本市について、どのように情報収集しましたか。

熊本市に移住することが決まって、まず最初に、2019年夏に東京で行われた、熊本県主催の「くまもとライフスタイルカフェ」に参加したんです。交流会では、熊本市UIJターンサポートデスク移住支援員の池田さんから、東京から熊本市に移住された時のお話を聞きました。

長年住んでいた東京から、熊本市に移住されたという池田さんの状況が私とよく似ていたので、とても興味深かったですね。話を聞いて、熊本市は思っていたよりも都会で便利な街かも、という印象を持ちました。交流会が終わった後は、私も熊本市なら暮らしていけそう、という気持ちに変わっていました。

ー 交流会に参加されて、熊本市の印象が大きく変わったようですね。就職活動はどのように進めたのですか?

熊本市で仕事が見つかるかというのも、不安要素の1つでした。結婚直前まで前の仕事を続けていたので、東京では就職活動のような期間はなく、インターネットで調べるなど企業研究をしていました。

2019年秋に行われた、熊本市主催の「くまもと大内覧会」には参加しましたよ。合同就職面談会や移住相談会、熊本市と周辺をめぐるバスツアーがセットになった2泊3日のイベントで、全国から250人くらいの方が参加された大規模なものです。熊本の企業の方々と実際にお会いして、給料のことや女性の働き方のことなど突っ込んだ話もできたので、とても有意義な時間でした。

熊本市には企業がたくさんあって、移住者向けの求人も多いことも分かりました。ブライト企業(=働く人がいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業として、熊本県が認定した企業)も多くて、就職への不安はほとんどなくなりましたね

ー 今は、図書館の司書として働いていらっしゃいますね。もともと希望されていたのですか。

熊本駅の向かいにある、くまもと森都心プラザ図書館に勤めています。学生時代から図書館の仕事には興味があって、司書の資格を取っていました。ですが、私が高校を卒業した頃はいわゆる就職氷河期で、図書館は求人が全くなく、司書という仕事に就くこと自体がとても難しい時代だったんです。

熊本で就職活動をしていたら司書の求人を見つけて、今の職場に決まりました。学生時代に抱いていた夢が、熊本で叶うとは思ってもいませんでした。くまもと森都心プラザ図書館は、本の貸し出しのほか、イベントも定期的に開催していますし、司書の皆さんもとても勉強熱心で、私も刺激をもらいながら充実した毎日を送っています。そうした働く場所を得られて、とても恵まれているなと思います。

都会と自然との距離が“ちょうどいい”街

ー プライベートでは、どのように熊本を楽しんでいらっしゃいますか。

パンが好きなので、休日は、パン屋さんによく行きます。熊本は東京に比べても、パン屋の数がすごく多くて、特に個人店が多いですね。しかも、どこも店構えがすごくおしゃれ。

夫と一緒に、阿蘇などへドライブに行くこともあります。1時間くらい車を走らせると、緑に囲まれた滝など壮大な自然に触れることもできるので、熊本市は、都会と自然との距離感が“ちょうどいい”と感じています。

また熊本市の街中は、カフェで食事して、買い物して、川沿いを散歩して…と、行きたいところがコンパクトにまとまっているところも気に入っています。東京にはいろんな場所やモノがあふれていますが、行きたいところが広範囲に点在していたので、例えば「このカフェに行きたい」と思っても、「カフェの後どうしよう?」と悩むこともあったんです。

ー 移住から2年経って、どんなところに熊本らしさを感じますか。

熊本の県民性を表す“わさもん”という言葉があります。新しいもの好き、という意味らしいのですが、熊本は、お店などどんどん新しいものができますし、服装も個性的でハイセンスな方が多いと思います。

ある日図書館に、年配のご夫婦が、手作りの革製品のテキストを探しにいらっしゃったんです。その時も、おそろいの手作りの革バッグを持っていらっしゃったのですが、そのお2人がとてもおしゃれな方々で。こんな風に、素敵に歳を重ねていきたいなあと思いました。熊本は、そんな人生の先輩方がたくさんいらっしゃる街ですね。

ー 素敵なエピソードですね。気持ちの面で変化したことはありますか。

“心の豊かさ”が変わりました。以前は毎日余裕がなくて、私も周りも、常に何かを急いでいる感じでした。ですが熊本に来てからは、落ち着いたゆとりある生活ができていますね。

それは、自然が近くにあって、好きなお店がいっぱいあるからだと思います。熊本市UIJターンサポートデスク移住支援員の池田さんが、移住する前も後も、熱心にフォローしてくださるのも心強いです。他の移住者の方との交流会などもセッティングしてくださって、とてもありがたいですね。

それから、道で会った小・中学生が、私のような初対面の大人にあいさつしてくれる風景なども、心の豊かさにつながっています。最初はとても驚きましたが、そうした習慣が当たり前に根付いている良い街だなと思います。よく「こどもは社会を映す鏡」だといわれますが、その意味がよくわかった気がします。

ー 最後に、熊本市への移住を検討されている方へのメッセージをお願いします。

移住する前の私がそうだったように、「熊本市は不便そう」だとイメージされている方が多いと思います。ですが、そこは安心してください。私自身、車の運転はできませんが、熊本市内だったら、熊本市電やバスなどの公共交通機関が発達しているので、全く不便を感じません。私は熊本駅周辺に住んでいて、自転車で行ける距離になんでもあるので、とても便利ですよ。ぜひ前向きに、移住を検討してみてください!

お名前:野中さん
取材時の年齢:40代
ご職業:図書館司書
移住歴:3年目
移住前の居住地:長野→東京

くまもと森都心プラザ図書館

住所:熊本県熊本市西区春日1丁目14番1号 くまもと森都心プラザ3・4階
電話:096-355-7401
開館時間:月曜~土曜 9:30〜20:00/日曜・祝日 9:30〜18:00
休館日:毎月第3水曜日(祝日の場合翌平日)、年末年始(12月29日〜1月4日)、特別休館日(年1回 7日以内)

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