「熊本に対する気持ち」が
変わった

あんなに嫌いで飛び出した熊本が、今は「最高の街」に思えます。

子どもの頃からずっと、故郷である熊本が好きではなかったと語るのは、熊本市でレストランを営む冨永さん。東京、フランス、福岡での生活を経て、その意識は大きく変わったと言います。熊本にUターンするまでの心の動きと、今感じる「熊本市に住むこと」の魅力を聞きました。

料理をする男性

都会に憧れ飛び出した、若い頃の自分

ー 現在、街中のレストラン「Peg」を経営されていますが、いつから料理人を目指していたんですか?

物心ついたときからです。幼稚園の時の文集には、すでに「コックさんになりたい」と書いていましたね。子どもの頃から、野菜くずでサラダらしきものを作ったりしていました(笑)。実家はあまり外食をしない家で、母の手作り料理も、私の料理人人生の土台になっているように思います。
高校進学時には「料理人になりたい」という一本の筋が自分の中に確立していて、食材となる農産物やその流通について勉強できる農業高校に進学しました。

ー その頃は、熊本のことがあまり好きではなかったとか?

正直、好きではありませんでした。僕は熊本県北部にある「和水町(なごみまち)」という田舎町の出身で、当時の僕たちにとっての都会=熊本市。熊本市内の古着屋さんで買物の際にもらえる色んなショップ袋を、誇らしげに持つのがステータスでした。そんな雰囲気全体が、「田舎臭い」「野暮ったい」感じがして、そんな土地に住む田舎者である自分も「ダサい」なと。とにかく嫌だった半面、都会への憧れは募るばかりでした。

ー そして、高校卒業後は熊本を出られたんですね。

絶対に熊本は出ると決めていたので…!(笑)調理師になるために福岡の専門学校で学び、西洋料理を専攻しました。卒業後ももちろん、熊本に戻るつもりは全くなく、東京の百貨店に入っているフランス料理店に勤めることになりました。

ー 憧れだった都会・東京での生活はいかがでしたか?

職場で先輩の指導がとにかく厳しくて、標準語で怒られるとさらに冷たく感じていましたね。周りの仲間たちが次々と辞めていく中、必死に食らいつきました。ここでの修行で地獄を見たからこそ、今の自分があるとも思っています。
一方で、今までと全く違う環境での生活は、もちろんすごく楽しかった。やっぱり東京にはすごい人がいっぱいいて、すごいお店もたくさんあって。自分の天狗の鼻をへし折ってくれるような、素晴らしい出会いがたくさんありました。もっと上の世界に触れるという意味でも、東京に行って良かったなと思います。

ー なるほど、そして、フランスでの修行も経験されるんですね?

最初に勤めたお店が閉店になり、その後、食べ歩く中で「ここだ!」と惚れ込んで勤めさせてもらったのが、小さな個人経営のフランス料理店。ここで、今のベースとなるような経験を多くさせてもらいました。
さらにその2年半後、「本場で学びたい」とフランスへ送り出してもらい、1年間修行。次はベルギーで…、というタイミングで起こったのが、東日本大震災。「日本が大変だ!」と、急遽帰国を決めました。
妻(北九州市出身)とともにとりあえず九州には帰ろう、となったのですが、熊本が嫌いで飛び出した身分で、おいそれと熊本に帰る選択肢はなく福岡市で働き始めました。

インタビューを受ける男性

大人になってわかった「熊本市のかっこよさ」、そして食材の価値。

ー そんな冨永さんが、ずっと嫌がっていた「熊本に住む」ことを選んだきっかけは、なんだったのでしょうか?

福岡では2年ほど働きました。もちろん楽しく暮らしていたのですが、何か街に対して腑に落ちない感じがあったんです。
そんな時、ふと遊びに来た熊本市で、「あれ、熊本ってなんかカッコいい」と感じて。僕が東京にいたとき住んでいた下北沢に似ている印象なんですが、街は個性的なファッションの人で溢れていて、面白い個人経営のお店がたくさん。とにかく個々のパワーがすごいんです。程よいキャパシティの街の中に、他にはない魅力がキラキラ詰まっているような…。
昔は嫌がっていた「ちょっと田舎っぽい」点さえも、むしろカッコイイとすら感じました。

もちろん福岡も面白いお店や美味しいお店がたくさんあるけど、やっぱり百貨店や駅ビルなど大きなハコの強さがあって。それに比べると、熊本には「個々の独自の発展」があって、「ここにしかない何か」がある。そう気付いた時、「自分でお店を開くなら、熊本で」と決意しました。

ー そうして、この「Peg」を開いたのですね!

お店は「熊本の食材に特化したお店」をコンセプトにしました。オープン当初から、お店で使う野菜は全て熊本の無農薬の野菜。そのほか自然な環境と餌で育った健康なお肉、九州近郊で獲れた天然のお魚をできる限り揃えています。

熊本は海あり山ありで、良い食材が豊富に手に入るのが大きな魅力。しかも、東京では考えられないくらいお手頃なんです。メインで使う食材はなるべく生産者さんを訪問しているのですが、東京からシェフが会いに来るようなすごい生産者さんが熊本にはたくさんいるんですよ!それでいて、皆それをひけらかさない(笑)。きっと、まだ出会えていない農家さんやすごい食材もたくさんあると思います。

「Peg」を、あえて「フランス料理」などのジャンルにカテゴライズしないお店にした理由も、そこにあるんです。ショップカードに書いてあるのは「“自然の料理”Peg」。熊本には身近に素晴らしい食材が、当たり前のようにたくさんある。その風土をまるごとお皿に乗せて提供したい、そんな思いで、日々料理を作っています。

そうして熊本の素晴らしい生産者や食材のことを伝えていくのが、僕ら飲食店を経営する者の役目だと思うし、巡り巡って熊本が元気になっていくと思うんです。

サラダプレート

ー 最後に、都会から熊本市へのUターンやIターンを検討している人に向けて、メッセージを!

昔は熊本が嫌いだったけど、今では逆に、こんなにキラキラしているところは無いと思っています。同じように熊本の魅力に気づいてやってきた移住者さんが、実は僕の周りにもたくさんいるんですよ。自然環境や食材、中でも「水」にこだわりのある人は、熊本を選んでくれてることが多いですね。ほかによく聞くのは「気」が良いとか、「人」が合うとか。

肌に合う・合わないみたいなのもあると思うけど、そんなふとしたきっかけで良いと思うんです。熊本に遊びに来て、気に入って、「物件探しちゃってるよ~」と冗談ぽく言っていた友人が、知らないうちに移住してたこともあります(笑)。まずはぜひ、気軽に遊びに来てみて欲しいです!

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お名前:冨永さん
取材時の年齢:30代
ご職業:レストラン「Peg」経営
移住歴:5年目
家族構成:妻・長女
移住前の居住地:東京→フランス→福岡
Peg

Peg(ペグ)

住所:〒860-0848 熊本県熊本市中央区南坪井町5-10 ドラゴンビル
営業時間は公式Facebookよりご確認くださいませ。
https://www.facebook.com/peg.kumamoto/