本当の幸せとは何なのかを、熊本で知った。
東京で生まれ育ち、当然のように「東京で働き、一生を暮らすのだろう」と思っていた大島さん。しかし、あるとき「東京で働くことにこだわらなくてもよいのでは?」と考えるきっかけがありました。一人の女性が東京を飛び出し、熊本市を人生の舞台として選ぶまでのストーリーをご紹介します。
東京で働くことが「当たり前」ではないことに、気付いた日
ー 大島さんは、東京のお生まれとお聞きしました。大学まではずっと東京だったんですね?
はい。東京の下町で生まれ育ちました。100円でもんじゃ焼きが食べられる駄菓子屋さんが近所にあるような、本当に典型的な“下町”。人情味あふれる街で育ったので、九州の気質になじみやすかったのかも、と思います。 大学受験の際にも、東京以外へ進学するという選択肢は考えもしませんでした。「ずっと東京で生きていく」ことが当然のように思っていましたね。
ー そこから、九州へ来ることになるまで、どのような変化があったのでしょうか?
大学時代に、「自分の実になる習い事を」と、広告専門誌が主催するコピーライター養成講座に通いました。小さい頃はテレビっ子で、CMも大好きだったので「面白そう!」と飛びついたんです。日本広告業界の最先端で活躍する方々から教えを受けて制作業界の楽しさに熱中し、人脈もできはじめ、就職活動も広告業界一本に絞りました。受けたのは東京の企業ばかり。ただ、ことごとく採用試験に落ちてしまうことに…。「東京にある制作プロダクションなどを当たるか、それとも違う業種を見てみるか…?」と悩んでいたのですが、そのとき、ふと思ったんです。
「そもそも、なんで東京にこだわっているんだろう。東京以外の会社に挑戦してもいいんじゃない?」って。本当に、ぱっと、思いつきで。
ー それまでの「当たり前」を覆したことが、大島さんの人生を大きく変えたんですね。
日本中を見て、どの地域に行こうかと考えました。関西にも大きな広告会社はあるけど、どこかの「支社」が多いんです。地域に根付いて大きく活動している広告代理店を検討し、名古屋と福岡の代理店に内々定をいただきました。コピーライター講座でお世話になった講師の方が福岡出身で、「下町育ちの大島さんには九州の雰囲気が合いそう」と勧められ、クリエイティブに定評がある福岡の大手広告代理店へ就職することに。それでも、そのときはまだ、「3〜5年くらい経験を積んだら東京に戻ってこよう」と思っていたんですけれど(笑)。
ー 初めて東京を出て福岡での1人暮らし、いかがでしたか?
職場も住まいも天神周辺だったのですが、東京とは違って人との距離感の近さに驚きました。東京は、「東京」とひとくくりにされてはいるものの、いろんな都市が集まっていて、 「住む街」「働く街」「遊びに行く街」など“まちの使い分け”のようなこともできていました。でも、福岡は都市部がコンパクトに凝縮していて、街中でバッタリ知り合いと会うこともしばしば。最初こそ戸惑ったものの、その雰囲気が居心地良くなって、結局9年近く福岡に住むことになりました。
ちなみに、福岡時代に熊本へも数度、来たことがあります。ただ、阿蘇や黒川温泉で観光しただけだったので、熊本市はまだ私にとっては「未知の土地」でした(笑)。
仕事も、余白の時間も、幸福に過ごせることの価値
ー そんな大島さんが、熊本市に来ることになったきっかけは?
転職を検討するタイミングがあって、自分が得たノウハウを生かせる広報職を探していました。しかし、そのとき福岡の企業で広報職の求人がなく、見つけたのが熊本を拠点に全国へ健康食品の通信販売を行う「えがお」の広報職。隣の県でしたが、実は東京出身の私にとっては福岡も熊本も、あまり大きな違いを感じていなくて(笑)。会社のことを調べる中で、「えがお」という企業に惹かれたこともあり、「ちょっと気分を変えて、今度は熊本に住んでみよう」と隣町に引っ越すような軽い気持ちで、熊本市へ来ることを決めました。
ー 実際に住み始めてから、熊本市への印象って、どのように変わりましたか?
東京とも福岡とも大きく違う環境だなと、すぐに実感しました。一番戸惑ったのは交通の便ですね。東京も福岡も、地下鉄やバスの交通網が充実していますが、熊本は車での移動が中心。ペーパードライバーだったので、慌てて運転の練習をしました(笑)。
ただ、それ以外は良いことばかりですね。街の規模感もちょうどいいし、バランス良く必要なものがそろっていて、暮らすのにとても便利な印象です。何よりも、「余暇を楽しめる場所が多い」ということを、一番魅力に感じています。県外から友人が来たら、阿蘇や天草、人吉球磨など連れて行きたい観光地が多くて、ガイドのしがいがあるのも楽しいですね。
ー 熊本で結婚、出産をされたと伺いました。子育て環境としても魅力がありますか?
はい、熊本に来て2年たったときに結婚・出産し、今は2歳の娘の育児と仕事を両立する日々。休みの日、家族で出かける時の選択肢がたくさんあるんです。近場にも自然の中で遊べる場所がいっぱい。江津湖やちょっとした渓流で水遊びしたり、山遊びしたり、果物狩りや芋の収穫体験ができる機会も多いし…。自分のこどもの頃を思い返すと、川といえば隅田川や大きな運河で、川遊びなんて出来ませんでした。その頃と比べると、娘には小さな頃からいろんな経験をさせてあげられる環境があります。毎日がとても豊かに過ごせて、人生の幸福度がとても高まったように思います。
実は先日、熊本市に家を建てました。かつては「いつか東京に戻る」と思っていましたが、熊本市での暮らし、特に子育てを経験すると、もう東京には戻れません!
ー 「働く場所」としての熊本市って、どうでしょうか?
勤務先である「えがお」自体は通販の会社ですので、熊本から全国に向けた仕事ができ、“地方”であることのデメリットは感じません。同じように、東京など大都市で備えたスキルを活かし、地方から広いフィールドに向けて活躍できるような企業が、熊本市には豊富にあると思います。
また、「えがお」で働き始めて感じたのが、熊本には郷土愛が強い方が多いということ。当社代表の熊本への思いも強いですし、取引先の方などもみんな郷土愛が強くて、そういう方達と一緒にお仕事するのはとても気持ちがいいです。 さらに、熊本には福利厚生が充実した企業が多いように感じます。社内保育園や休憩スペースなど、福利厚生のための空間をゆったり設けられる土地や環境の「ゆとり」があるんですね。
女性の様々なライフスタイルを応援してくれる場所
ー 「えがお」さんは、特に働く女性への支援が手厚い印象があります。
そうですね。当社で働く社員の約7割が女性です。通信販売の受付や様々な相談にお応えするコールセンターは、女性ならではのホスピタリティが生きる職場です。当社のコールセンターでは、生活環境や健康上のお悩みなどをお聞きした上でご提案するので、ただの商品購入の受付でなく、カウンセリングに近いです。指名でお電話を掛けてこられるお客様も多いんですよ!
そうして、お客様と信頼関係を築くことに喜びを感じる方を採用したいですし、長く働いて欲しいと思うので、彼女たちを支える体勢も自ずと整えられてきました。今、社会では「女性活躍」が叫ばれていますが、当社では随分前から、しっかり働く女性への支援に取り組んでいる印象です。
ー 大島さんご自身は、どのような取り組みに特に助けられていますか?
一番は、企業内の認可保育園の存在ですね。娘が3月生まれなので、保育園探しが難しかったのですが、こちらに入れたおかげで丸1年で仕事に復帰できました。実は「えがお」の育休取得、復職率は100%なんですよ。
保育園が会社の敷地内にあり、毎日の送り迎えの時間がかからないことと、園でふとんやオムツの準備をしてくれることにとても助けられています。すぐにお迎えに行けないときも、様子を見てくれたり、仕事の状況に合わせて先生が柔軟に対応してくれる点も協力的でありがたいです。こどもが小さいうちは時短勤務を選択できたりと、会社の子育てに対する理解が深く、恵まれた子育て環境の中で働けていると実感しています。
ー 最後に、熊本市への移住を検討する方へ、メッセージを!
東京などの大都市から熊本市へ移住する方が心配することの1つは、転職による収入面だと思います。確かにお給料が下がってしまう場合もあるかもしれませんが、一方で家賃や交通費、食費などの支出を抑えられることが多く、生活水準はある程度維持できる環境だと私は感じています。加えて、余暇の楽しみ方や、家族で過ごす時間など、お金だけでは得られない豊かさが、熊本市にはとても多いです。人生トータルの幸福度で見ると、熊本市は理想的な場所だと思います!
※記載の情報は、すべて取材時のものです。