いざというとき、頼れる病院〜熊本市民病院〜

実は熊本市は、全国的にも医療環境が充実している都市だということ、ご存知でしょうか? 救急医療1つとっても、市内には救急救命センターが3施設あり、救急車搬送数は全国でもトップクラス。二次救急医療を行う基幹病院も多く、都市部で問題になりがちな「救急車のたらい回し」がとても少ない地域です。中規模病院や地域の医院との連携も行われていて、とにかく医療体制が豊かな土地柄なのです。普段、住んでいるとごく当たり前のように思っていたんですが、とてもありがたい環境なんですね。

このように、熊本市民の健康と医療を支えている基幹病院の1つが、「熊本市民病院」です。以前は34の診療科を持つ大病院として急性期医療を提供してきました。特に周産期医療への取り組みが強く、NICU(新生児集中治療室)やGCU(回復治療室)で、超低出生体重児など病気の治療が必要な赤ちゃん、さらに救急を要するお母さんの治療に当たっています。「熊本市民病院」は、熊本市で出産を迎えるママと子どもの大きな心の拠り所でもあるのです。

そんな「熊本市民病院」ですが、2016年4月の熊本地震で病院の建物が大きな被害を受け、一部診療科の休診や入院を制限した診療を余儀なくされてきました。しかし、2019年10月、場所を東区東町に移して新しい市民病院が診療を開始します。建設が進む新病院を、一足お先に見せてもらいました。

熊本市立市民病院

広い駐車場の奥にそびえる、カッコいい外観の新病院が見えて来ました。熊本城をイメージしたデザインなのだそうです。すでに建物は完成していて(8月下旬取材時)、医療機器や設備などの搬入が始まっていました。屋内も現代的で明るい空間で、各診療科への案内も分かりやすく、安心して過ごせそうな雰囲気。新生児内科病棟へ足を運ぶと、NICUやGCUの準備も進んでいました。カフェやコンビニも入り、スマホでの待ち時間通知やキャッシュレス対応も行われるそう。大病院は待ち時間がつらいというイメージでしたが、新しい病院はこれまでより便利になりそうです。

もちろん、ただ病院がオシャレに便利になるだけではありません。新病院は「女性と子どもに優しい病院」がコンセプトの一つ。MFICU(母体胎児集中治療室)を再開するなど(2020年4月予定)周産期医療はもちろんのこと、女性特有の疾患やメンタルヘルスケアへの対応にも力を入れて、幼い命とその母を守ります。さらに、遠方から長期入院する子どもの家族の負担を減らせるよう、敷地内に宿泊施設「ファミリーハウス」も設置。中で働く職員向けに院内保育所も整えます。免震装置などを設置し災害への対策も取られているそうです。これは、熊本地震の経験があってこそですね!

NICU

より堅牢に、そしてしなやかに市民の健康を支えてくれる期待感を抱かせてくれる新病院。これまで以上に「専門性と総合力」を兼ね備えた病院を目指すといいます。困難な症例には各診療科が専門性を生かし、複数疾患を持つ患者さんには診療科の垣根を越え連携した医療の提供を目指します。さらに、「患者サポートセンター」では外来予約・入退院支援・各種相談を1箇所で行えるように。社会復帰に向けた多職種のサポートも受けられ、より患者さんとご家族の心の拠り所になりそう。地域のかかりつけ医との情報共有ネットワークの準備も進んでいるそうです。これまで以上に、いざというときに頼りになる場所、新病院を見てそんな包容力を感じました。

市民病院の玄関口

働き手も輝いているからこそ、 頼れる病院でありつづける

熊本市民病院は、『働く場所』としても大きな魅力があります。

そう語ってくれたのは、同病院で看護師として働く山名(やまな)さんです。熊本市で生まれ育った山名さん。高校生の頃に自宅で祖父を看取った経験から訪問看護に興味を持ち、看護師への道を志しました。「一度は親元を離れて自立したい」と関東の大学へ進学し病院へ就職その後、そのまま東京に約10年在住。同じく熊本市出身のご主人と一緒に熊本市へとUターンしたのは、長女の出産直前のことでした。

笑顔の看護師さん

都会で子育てをすることに漠然とした不安がありました。夫婦共に熊本市で生まれ育ったので、慣れ親しんだ土地なら初めての出産・子育てにも安心だろうという気持ちもあって。これは偶然だったのですが、長女は熊本市民病院で出産したんです。私は幸い正常妊娠でしたが、『もし出産で何かが起こっても、NICUがある市民病院なら大丈夫!』という安心感がありましたね。病院のスタッフたちの対応もとても頼もしく、優しかった。

そんな山名さんが熊本市民病院で働き始めたのは、長女が1歳半になったとき。自宅が近かったということもありましたが、子どもの頃からよく知っている病院であること、そして自身が出産したときに患者として感じた『病院の優しい雰囲気』に魅力を感じ、パート求人に応募しました。何より病院内に職員向けの院内保育所やいろいろな休暇制度がある等働きやすい環境が、市民病院での復職を大きく後押ししたそうです。

血圧を計る看護師さん

数年パート職員として働いていましたが、職場の上司から市職員採用試験の受験を勧められ、次女の妊娠・出産を経て正職員となりました。現在は7歳の長女と4歳の次女、2児の育児をしながら、外来の看護師として働く忙しい日々を送っています。

看護師であり公務員でもあるということは、仕事への責任感がより増します。同時に、家事育児との両立をしやすいというメリットも感じています。産休・育休制度に加えて、1日のうち90分休みを取れる時間休の制度もあり、福利厚生面でとても恵まれていると思います。また、市民病院で働く看護師は若手からベテランまで年齢層が幅広く、子どもを育てながら長年勤務している先輩ママも多くいます。なので、『働くママ』としてのお手本にできたり、子育てについて何でも相談できたり、子どもの急な熱の時などに快くサポートしてくれたりと、子育てを温かく支えてくれる雰囲気があってありがたいです。

廊下を歩く看護師さん

自身の生活を充実させてこそ、患者さんや市民に対してもしっかり貢献できるもの。山名さんは恵まれた環境の中で、看護師としてのキャリアを1つ1つ高めています。

東京では大病院でも何かの診療科に特化している場合が多く、私が勤めていた病院もそうでした。専門性が深まるメリットはありますが、元々私は訪問看護に興味を持っていたので、もっと地域医療や総合医療に関われる機会も増やしたいとも思っていたのです。市民病院は地域都市の基幹病院として、専門性と総合医療を兼ね備えている病院。赤ちゃんから年配の方まで幅広く、またたくさんの診療科があるのでさまざまな疾患の患者様が来られます。看護師として自分が目指したい道に向けて一歩一歩前進できているのを感じています。

安定した公務員の待遇の中で、育児と両立させながらキャリアプランもしっかり組むことができる…。熊本市民病院は看護師として働く人にとっても”頼もしい”場所なのかもしれません。

さて、そんな「熊本市民病院」ですが、看護師の臨時職員を募集しています。真新しい病棟で、そして新しくなった制服で、看護師としてのさらなるキャリアアップを目指せるチャンスです。熊本での復職や就職を目指している看護師資格保持者にとって、貴重な機会かも知れません。まずは求人情報ページで詳細を確認してみてくださいね!

熊本市民病院外観

熊本市立熊本市民病院(くまもとしりつくまもとしみんびょういん)

住所:2019年10月1日開院
〒861-8505 熊本市東区東町4丁目1-60

熊本市立 市民病院MAP
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熊本はどうデスク ライター紹介

ライター中川さん

中川 千代美

なかがわ・ちよみ/長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。
食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。
熊本住居歴/22年