住み処の理想が
変わった

ヴォルターズ愛が高じて熊本へ移住したら、想像以上に完璧な街でした

生まれも育ちも進学先も東京、生粋の東京っ子だった林さんが、社会人としての一歩を歩み始めるのに選んだ場所が、熊本市。バスケットボール一筋で生きてきた彼女が「熊本に住み、働く」道を選んだきっかけは、熊本市民に元気を与え続けてくれているあのプロチームとの出会いでした。

公園でバスケットボールを楽しむ女性

「どこで」より、「誰と」働きたいかを大事にしたくて、選んだ熊本

ー 林さんは、生まれてから専門学校に進学するまでずっと東京だったんですね?

はい、東京都で生まれ育ちました。東京といっても郊外のベッドタウンだったので、駅の周りは栄えていますが、少し離れると山あり川あり、閑静な住宅街あり、という環境。今思えば、街の規模感や雰囲気が、すごく熊本市に似ているように思います。

とはいえ、都心に出ると人の多さは桁違いで、高校への通学の時なんかは、毎朝ラッシュアワーでもみくちゃにされていました。でも、ずっとそんな環境で育ってきたので、それが当たり前だと思っていました。

ー バスケットボールをずっとされているとか?

小学校4年生からバスケットボールを始めました。中学校では市の大会で優勝したり、高校では都大会ベスト64に入れたりと、はまって頑張っていました。

ー さすが東京、高校の数も多いですね…! そして、専門学校進学後に「熊本市への移住」への大きなターニングポイントが訪れるんですね。

東京オリンピックへの準備が進んでいる時期だったこともあり、「オリンピックやスポーツチームに関わる仕事がしたい」と、スポーツビジネスを学べる専門学校へ進学しました。ただ、周囲の人は「スポーツの世界で働くなんて、狭き門。難しいのでは?」と懐疑的。その反応がくやしくて、「絶対に夢を実現させる!」と、いろんなプロスポーツチームのインターンやスポーツ大会のボランティアに参加しました。後から数えると、2年間で約120日間もボランティアとインターンに参加していました(笑)。そして、その内の一つが、プロバスケットボールチームの「熊本ヴォルターズ」だったんです。

ー いろんなチームのお手伝いに参加する中で、「熊本ヴォルターズ」は他とどう違いましたか?

元々「すごく愛があるチーム」と評判だったんですが、インターンに参加させてもらって、その評判は本当だったと深く感じました。インターンでは、チームのマネージャーとして練習のサポートをするのが主なお仕事。選手達との交流も多いのですが、選手もスタッフも優しく気さくで温かく、「この人たちのために私も頑張りたい」と心底思える人ばかりでした。チームが関東に遠征で試合に来る度にマネージャーをさせてもらって、そのたびに「熊本ヴォルターズ」に惹かれて、このチームで働けるといいなと思うようになりました。

グッズ売り場に立つ女性
©KUMAMOTO VOLTERS

ー 「熊本ヴォルターズ」で働きたいと思った決定的なきっかけがあったとか?

熊本地震が発生した日、チームは東京に遠征中で、前震翌日の試合に私はマネージャーとして参加していたんです。試合に出るべきかどうかの葛藤や、遠くから何もできない無力感、そんな選手達の苦しみを直で感じました(本震後の試合は辞退して帰熊)。プレー一つ一つに祈りと思いを込めるようにして戦う姿に、「私も、この人たちを支えて、一緒に戦いたい」と強く思いました。

その後、チームの方にはヴォルターズで働きたい旨をなんとなく伝えてはいましたが、運良く採用があるかは分からないので、本当に働けるかは分かりませんでした。すると、専門学校卒業も迫りつつあったある日、インターンに参加したときにヴォルターズの責任者から「履歴書持ってきて」の一言が! 無事採用していただけることになり、本当に嬉しかったです!

ー ずっと東京暮らしだったのに、遙か遠い熊本市への移住。そのことへの迷いはありませんでしたか?

「熊本ヴォルターズ」への思いを募らせる中で感じていたのが、どこで働くかよりも「誰と」働きたいかを大事にしたいということ。そして、熊本市には一緒に働きたいと思える人がとても多くいました。そんな人たちがいる場所なら、きっといい場所だろう、どんなに遠くても頑張れると思いました。実際、熊本に来て家が決まるまで3ヵ月間、ヴォルターズの社長宅に居候させてもらったんですよ。熊本の人の温かさに包まれて、安心感の中で熊本市での新生活を始められました。

誰も知り合いがいなかったのに、2年経つと仲間がいっぱい

ー 「熊本ヴォルターズ」では、どんなお仕事をしているんですか?

今はチームのフロントの営業職としてスポンサーさんを回ったり、ホームゲームの際に出店いただく店舗の管理・手続きの業務を行っています。「熊本ヴォルターズ」には450社ものスポンサーさんがついていただいているので、本当にいろんな方とお会いできるのが楽しいです。

「熊本ヴォルターズ」はフロントとチームや選手の立場が対等で、互いに互いを必要とし、尊重しあう雰囲気があるからこそ、「愛」にあふれるチームだと言われていると思います。インターンの頃のように選手の間近で支える仕事ではないけれど、「自分もヴォルターズに必要とされる存在になる!」という想いを持って働けているのが、今の仕事の大きなやりがいの一つです。

ー 熊本市に移住されて3年目との事ですが、熊本市の住み心地、率直な感想をお聞きしたいです…!

まず強調したいのは、食べ物のおいしさですね! 食べることが大好きなので、これは本当にありがたいです。熊本の名産品などはもちろんですが、例えば食べ放題で何気なく出てくる唐揚げや刺身一つとっても、おいしい! 甘い醤油にも慣れてきました。熊本市に来て、「まずい」という言葉を忘れていたように思います(笑)。

私は自分の車を持っていないのですが、市電の沿線エリアに住んでいるので全く不便がありません。お店の数も程よくて、欲しいものは何でも手に入るし、こんなにパーフェクトな規模感の都市は珍しいのではないかな、と思います。

あとは…、東京時代と比べて一番大きな変化は、歩くスピードがゆっくりになったことかな? 東京は自分も含め、みんな早く歩いていて、人はとても多くて混雑しているのに、周りの人との心の距離感は遠い。「ちょっと立ち止まる」ことや、「友達や知り合いを作る」ことへのハードルがとても高かったなあと思います。

熊本では段々ゆっくり歩くようになって、その分景色やお店や、いろんな人の表情を見るようになった気がします。何気ない時間も豊かになったというか。人との距離感も近くて、仕事関係以外でも知り合いや仲間が自然と増えていきましたね。女性一人、しかも就職と同時に見知らぬ土地への移住だったのに、本当にゆっくり楽しく自立した生活を始められています。

街をゆっくり歩く女性

ー わずか2年で、お仕事以外の仲間が増えたというのも素敵ですね。オフも充実されているようです。

仕事が終わった後、残業がない日には、地域のバスケットボールチームに参加して、バスケが趣味の仲間と練習したり、学生みたいに夜中までファミレスでワイワイ楽しんだりすることも多いです。また、熊本で試合がない週末は休みになるのですが、ボランティアで3人制バスケットボールのボランティアに参加したりしています。福岡まで行くことも多いのですが、熊本からのアクセスが便利なので助かっていますね。

仕事もアフターファイブも休日もバスケットボール三昧(笑)。こんなに心豊かに好きなことを楽しめる生活が送れる熊本市が、私の中で「心の故郷」になってきています。東京に遊びに行ったりしても、「東京に帰ってきた」ではなく、「熊本に帰りたい」って思うようになって。暮らしのペースも、楽しみも、心の居場所も、私にとって熊本市がちょうどいいです。

ー 熊本市への移住を考えられている方へ、メッセージを!

あくまで私見ですが、熊本市の規模感・環境・食べ物・アクセス、そして人…、どれをとっても「ほとんどの人が満足できる完璧な街」と言い切っても過言ではないと思っています。その上でお伝えしたいのが、移住が成功するかどうかは、最終的には土地選びよりも「人」が決め手になると思います。どういう人と住みたいか、住み始めてどんな仲間が作れるか…、そこを大事に考えることが大事。私の場合は、熊本市でそういう人たちを見つけることができたし、多くの人にとっても、いろんな「良い出会い」が待っている都市だと思いますよ!

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お名前:林さん
取材時の年齢:20代
ご職業:熊本ヴォルターズ 営業
移住歴:3年目
移住前の居住地:東京