「移動のハードル」が
変わった

熊本と東京の友人に囲まれて暮らす、2人と3匹の移住物語

3匹の猫と暮らす上村朋矢さんと妻の亜莉紗さん。おふたりの周りにはいつも多くの友人がいます。東京から熊本へ、熊本の友人は増えても東京の友人とも変わらぬ縁を繋いでいるおふたりに、移住のきっかけや熊本市での暮らしについて聞きました。

次の居場所を求めて熊本へ。

—朋矢さんは熊本、亜莉紗さんは兵庫のご出身と伺いました。まずは、おふたりが熊本へ移住された経緯を教えてください。

【朋矢さん】ふたりとも移住前は東京で仕事をしていました。妻と出会った時には、すでに私は熊本へ戻ることを決めていて。お付き合いを始めて1週間で先に僕が熊本市へ、その半年後に妻(当時は結婚前)が越してきました。

—1週間で!出会った時には、熊本へ戻ることを決めていたんですね。

【朋矢さん】はい。明確なきっかけがあったわけではないですが、東京に住んで10年ほど経っていたこともあり、そろそろ熊本へ帰ろうかという気持ちが芽生えて。帰省のたびに熊本もいいなと感じていたので、その気持ちが積み重なっていったのかもしれません。その頃には知り合いと会社を始めてリモートでも仕事ができる状況が整っていたので、東京を離れることに決めました。

—亜莉紗さんもご自分で会社をされていますよね。東京から熊本へ、働く場所を変えることは怖くなかったですか?

【亜莉紗さん】そうですね。不思議と怖さや不安はありませんでした。場所の変化は大きく仕事に影響しますが、当時はあまり深刻に考えていなかったですね。自分の知らない場所で生活するということへのワクワク感のほうが強く感じていました。どことなく海外留学に挑戦するような気持ちで。でも海外のように言葉が通じないわけではないし、大丈夫だろうと。

—すごく前向きに移住を選択されたんですね。

【亜莉紗さん】タイミングもよかったんです。就職と同時に上京してから9年ほど東京で暮らしていたので、なんとなく東京生活は満喫した気がしていました。でも地元の関西に帰ろうとも思わず、まだ住んだことのない第三の場所を探していた時期に朋矢と出会い、今に至ります。

バランスのとれた環境で、より軽やかに。

—おふたりが一緒に暮らす3匹の猫たち、はるちゃん・あめちゃん・ライトくんも東京から熊本へお引越しされたんですよね。熊本での3匹の様子はいかがですか?

【亜莉紗さん】3匹とものびのびとしています。私があめとライトの2匹を連れて来たのですが、東京ではワンルームに住んでいました。キャットタワーなどで遊び場を確保していましたが、狭さが猫達にもストレスを与えていると感じることもあって。今は家の中でもたくさん動き回れて楽しそうです。

住まいはどのように探されたのでしょうか?

【朋矢さん】肌感覚ではありますが移住前に住んでいた東京よりも、熊本市内ではペット可物件が意外とあるなという印象でした。ペット可の物件でもそれぞれ条件が異なるので、次に猫の多頭飼いができるところを探しました。そのなかでもなるべく広い部屋を探して、この家を選んだという流れですね。

【亜莉紗さん】このマンションはエントランスで野菜が配られたりお米の注文ができたりと、少し変わっていて。試しにお米を注文してみたらオーナーさんが翌日に届けてくれました。

なかなかない楽しい距離感ですね。熊本市での暮らしはいかがでしょう?

【朋矢さん】生活の利便性もありますし、上通や下通など中心地が賑わっているのもいいですね。車で1時間ほど走れば自然の豊かな場所へもいけるので私たちにとってちょうどいいバランスだと思います。

【亜莉紗さん】熊本に来てから私も運転をするようになり、ひとり時間の行動範囲も広がりました。

熊本市内の飲食店の方々とも交流があるとお聞きしました。とくに亜莉紗さんは熊本の知り合いも少なかったかと思いますが、どのようにコミュニティを築いていったのでしょうか?

【亜莉紗さん】初めは福岡に住む知り合いがお店を案内してくれたんです。引越し前に何度か熊本を訪れたのですが、その度にお店へ伺うと顔を覚えてくれていたりして。そのお店の常連さんと一緒に乾杯したり、また別のお店を教えてもらったりと輪が広がっていきました。熊本の人は、陽気だけれど穏やかなテンションの方が多く、こちらがアレコレ気を遣わなくても、ただ受け入れてくれるような雰囲気があって落ち着いて過ごせます。

【朋矢さん】熊本には終電で帰る文化もないですし、3軒巡ってタクシーで帰ることもあります。

【亜莉紗さん】東京の時には行きつけの店を作って飲み歩くことがなかったので、移住してから外出のハードルが下がったのかもしれません。

熊本にいても、東京での変わらぬ関係性を紡いでいく。

続いて、お仕事のお話も聞かせてください。熊本市内に居ながら東京でのお仕事を続けられていますよね。お仕事内容や、熊本へ来てから感じた変化などがあれば教えてください。

【朋矢さん】クライアントからの依頼を受け、企画の趣旨に合うタレントさんを提案しお声がけすることが主な仕事です。営業は東京にいるビジネスパートナーが担当し、私は受注したお仕事の進行を担当することもあります。顔を見て話した方が伝わる場合もありますし、東京出張はわりと気軽に行きますね。物理的な距離はありますが、大変さは感じていません。

亜莉紗さんはいかがですか?

【亜莉紗さん】私は、クリエイティブディレクターとして広告物などの制作をしています。東京のクリエイターとチームを組むことも多く、多い時は月に2回ほど東京へ通っていました。1回の出張で1週間ほど滞在するので、タイミングを合わせて対面で打ち合わせをしたり友人が集まってくれたり。移住後でも人間関係が希薄になることなく、むしろより会えるようになった気がして嬉しいです。

熊本に住みながら、東京での生活も続いているような感覚でしょうか。生活の拠点は熊本にありつつ、その中には東京での仕事や人間関係も含まれているような。

【朋矢さん】そうですね。私たちが行くだけでなく、東京の友人が熊本に来てくれることもあります。

【亜莉紗さん】せっかく熊本に来るなら温泉もご飯も楽しみたいと気合いを入れてきてくれる人もいたり。東京へ行けない時には、来てもらうのもいいなと気がつきました。先日、母も熊本に来てくれて。行きつけのバーに一緒に行ったのですが、お料理が美味しすぎて弟子入りしたいと言っていました。

お友達もお母様も亜莉紗さんが熊本で暮らしていることを一緒に楽しんでくれているんですね。最後に、移住を考えている方へメッセージをいただけますか?

【亜莉紗さん】熊本には濃いカルチャーが育っているなと感じています。地方へ引っ越すと刺激が少ない日々をイメージする方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。東京や福岡とはまた違う独特なもので、それがとても面白い。新しい土地で生活を始めても、大切な友人たちとの関係性は案外変わりませんし、その土地で力になってくれる人もいるので、好奇心を信じて、動いてみるのもいいかもしれません。

お名前:上村朋矢さん
取材時の年齢:30代
ご職業:SNSマーケター
移住歴:3年目
移住前の居住地:東京

お名前:上村亜莉紗さん
取材時の年齢:30代
ご職業:クリエイティブディレクター
移住歴:3年目
移住前の居住地:東京

※記載の情報は、すべて取材時のものです。