人生が
変わった

遠くフランスから熊本市へ移住した、2人のストーリー

熊本に移住して14年目となるラファエルさんと、今年熊本に移住してきたばかりのソフィさん。お2人とも、フランスの生まれ育ちです。移住先輩と後輩が、熊本市への移住のストーリーと、海外からの移住先としての熊本市の魅力を話してくれました。ソフィさんは日本語を勉強中ということで、通訳をラファエルさんにご協力いただきました。

銅像の前に立つ男女

熊本市でフランス人がアメリカンドリームを叶えた!

ー フランスから熊本市に移住されてきたお2人ですが、ラファエルさんは移住14年目、ソフィさんは移住1年目と、時期はまったく異なりますね。まずはラファエルさんから、熊本市に移住されるまでのお話をお聞かせいただけますか?

【ラファエルさん】私はフランスのトゥーロンという都市で生まれ、6歳まではマルセイユで暮らし、その後はフランスのあちこちへ引っ越していました。母が熊本市生まれの日本人だったこともあり、こどもの頃は毎年のように祖母が住む東京へ遊びに来ていましたし、8歳の頃に一度、熊本にも来たことがありました。母とはほとんどフランス語で会話していたので、日本語はほとんど話せませんでした。ただ、たまに母が話していた「食べとかなん(食べておきなさい)」「消しとかなん(消しておきなさい)」などの熊本弁は理解していました。日本語より先に熊本弁に触れていましたね(笑)。

ー 熊本での留学生活はいかがでしたか?

【ラファエルさん】とにかく楽しかった! サークルは映画研究部に所属していたんですが、夜な夜な男子ばかりで集まってお酒を飲んだり、街で遊んだり、そんな交流を通して日本語がグングン上達しましたね(笑)。さらに、熊本市国際交流会館でフランス語を教えたり、有名なフランス料理店の息子さんにフランス語を教えたご縁でアルバイトをさせてもらったりと、人の輪も広がりました。1年の留学を終えてパリへ戻ったものの、熊本が恋しくて恋しくて…。留学中に、熊本市でフランス語講師のニーズが高いことを感じていたので、パリ外語大学院でフランス語講師コースを修学して就労ビザも取得し、2005年に熊本へと帰ってきました!

ー おかえりなさい! それからずっと熊本市に住まれているのですね?

【ラファエルさん】熊本に来てからは、私のサクセスストーリーの始まりです(笑)。予想通りフランス語講師や翻訳・通訳のニーズは高く、いろんな仕事をさせてもらっています。そして今は熊本市国際交流専門員としても働いています。熊本の人はみんな優しいし、仕事も順調、そして2009年に日本人の妻と結婚し、2人の娘に恵まれました。マンションも購入しましたし、先日は天草地域の海沿いに別荘も買いました! こどものころ過ごしたマルセイユに似た海の景色が広がり、イルカも泳ぐ素敵な立地に一目惚れしたんです。 熊本での生活は、本当に毎日が楽しい。熊本市でアメリカンドリームを叶えた、そんな気分です。

女性

建物と自然の調和が、とても美しいと感じた

ー そんなにも熊本市に惚れ込んでいただいて、こちらも嬉しいです。では、次にソフィさんが熊本へ来ることになったきっかけをお教えいただけますか?

【ソフィさん】私は南仏のエクサンプロヴァンスで生まれ育ちました。こどもの頃から日本が大好きで、日本の文学や俳句、生け花、折り紙、建築、映画、写真、マンガ…、いろんなものに触れてきました。「いつか日本に行きたい、暮らしたい」というのが、ずっと抱き続けた夢でした。フォトグラファー・グラフィックデザイナーとして働く中で、2015年にフランスで、日本のフォトグラファー50名によるネコの写真展を開催したとき、初めて日本の人と交流することができました。著名な写真家さんもいて、貴重な機会になりました。

ー 俳句などもフランス語で読まれるんですね、とても興味深いです。初めて熊本に来たのはいつですか?

【ソフィさん】2018年の10月です。私の故郷であるエクサンプロヴァンスは熊本市の姉妹都市。2018年に熊本市で日仏自治体交流会議が開催されたことに合わせて、両市の文化交流事業が行われることになり、私もフォトグラファーとして参加させてもらいました。長年の憧れだった日本への訪問をついに叶えることができ、とても嬉しかったです。

初めての熊本滞在は3週間。熊本市在住のフォトグラファー・谷脇俊之さんが撮影したエクサンプロヴァンスの景色の写真と、私が撮影した熊本市の景色の写真を展示する写真家交流・写真展に参加しました。

ー 熊本市を撮影して回った印象はいかがでしたか?

【ソフィさん】私が特に惹かれたのは、街並みの中で建物と自然が美しく調和している点です。古い建物はもちろん、熊本地震で新しく建て直している建築物もそういった調和が大事にされているし、住人達がその景色を大事にしているのもとても感じられました。交流期間後半は自由時間もあったので、いろんな景色を見て回ることができました。そしてそのときに素敵な人との出会いがあり、そのご縁を通じて、2019年6月より熊本市へと移住してきました。

大好きな熊本の街を散策する男女

困っても誰かが必ず手を差し伸べてくれる、だから住みやすい

ー お2人とも、日本や熊本を好きになって来てくれているのが、とても嬉しいです。熊本市に住む上での魅力って、どんなところで感じていますか?

【ラファエルさん】とにかく人が温かい。これに尽きますね。外国人だからと冷たくされることはないし、私の母が熊本人だと告げると特に喜んでくれて、本当にいろんな面倒を見てくれます。だから、熊本市には恩人がたくさんいるんです。大学時代のサークルメンバーとも今でも良くお酒を飲むし、バイトしていたお店の人とも深い交流が続いているし、熊本の人が、とにかく大好きです!

【ソフィさん】私もそれを感じます。私はまだ日本語がほとんど話せないのですが、買い物先とか街中でちょっと困った素振りを見せると、必ず誰かが英語で話しかけてきて、手を差し伸べてくれるんです。それがとても嬉しいですね。日本語が話せなくても、安心して住める場所だなと思っています。

【ラファエルさん】確かに、住む上での安心感もかなり高いと思います。フランスだと、特に夜などはどこかで警戒心を持ちながら過ごさないといけない。お酒を飲むときだってそうです。でも熊本市は治安がいいから、安心して過ごすことができます。お酒の席も日本人は普段より陽気になるばかりなので、楽しく過ごせますね。

【ソフィさん】あとは、やっぱり私は熊本市の街並が大好きです。熊本城や、新町古町の古民家や古い倉庫が並ぶエリアなども大好き。残念ながら熊本地震で被災してしまった建物も、力強く復興していく過程を見守ることができるのも貴重な経験だと思います。また、私が住んでいたエクサンプロヴァンスと文化は全く異なりますが、生活の質や人の陽気さなどは似ているように思います。

ー 熊本市への移住の先輩として、ラファエルさんからソフィさんへのアドバイスはありますか?

【ラファエルさん】熊本の人が助けてくれるとはいえ、やっぱり日本語を話せるようになった方がいいかな? 言葉が話せるようになると、より深い交流ができるし、もっと熊本の魅力も分かる様になると思います。私は大学時代に友人との飲み会を重ねる中で日本語が上達したので(笑)、普段の交流の中で語学も身につくように思います。

【ソフィさん】そうですね、日本語の必要性は私も強く感じています。なので私もいろんな人と交流したいと思い、積極的にイベントなどにも参加しています。夏には浴衣パーティにも参加して浴衣も初めて着ました!交流を通してネットワークを作っていくことを大事に、日々を過ごしています。

熊本城の前に立つ男女

ー 最後に、海外から日本への移住を検討している人へ、熊本市のオススメメッセージを!

【ソフィさん】私は日本では熊本市にしか住んだことがないので、他とは比べられませんが、熊本市に来てのこの半年間、本当に悪いことは何も起こっていません。みんな声をかけて親切にしてくれるので、怖がることなく日本での生活を始められる場所だと思います。

【ラファエルさん】大都市に住むといろんな刺激を受けられると思いますが、それがずっと続くと疲れてしまうと思います。その点、熊本市は刺激もほどほどに、のんびり、落ち着いて、癒される、そんな力がある土地だと思います。もっと癒されたいときは、本妙寺の石段を登るのが私の習慣です(笑)。 私の親は転勤族だったので、こどもの頃から「故郷」と呼べる場所を持つことが憧れでした。人生の流れが大きく変わり、温かさや楽しさをたくさんもたらしてくれた熊本市は、今や私の「故郷」です。海外からの移住者にとって、こんなに優しく温かな都市はないのではないかと思います。

お名前:ラファエルさん
取材時の年齢:38才
ご職業:熊本市国際交流専門員・国際交流会館フランス語講師・ローカル番組人気コメンテーター
移住歴:14年目
家族構成:妻・長女・次女
移住前の居住地:フランス・パリ

お名前:ソフィさん
取材時の年齢:40代
ご職業:フォトグラファー・グラフィックデザイナー
移住歴:1年目
家族構成:パートナー
移住前の居住地:フランス・エクサンプロヴァンス

※記載の情報は、すべて取材時のものです。